サザン芸術花火の減免について part.1

市は占有料7290万円を全額免除

2018年と2019年、「サザン芸術花火」がサザンビーチちがさきで開催された。

茅ヶ崎漁港の堤防から打ち上げられる花火を、サザンの楽曲にのせて楽しむというイベントで、主催者は「サザン芸術花火実行委員会」、そして茅ヶ崎市が後援している。

2018年は、イス席チケット4300円を 9815席、砂浜座りチケット3800円を 19521席、立ち見3300円を 4380席を販売し、チケット収入は合計1億3082万円だった。

2019年は規模を拡大。チケット代金も大幅に値上げして、椅子指定席6800円を 31980席、ベンチ自由席5800円を2992席、プレイガイド等で販売し、チケット収入は 2億3482万円だった。

こういったイベントなどで漁港区域やビーチ等を占有する場合、主催者(サザン芸術花火の場合は実行委員会)は「漁港区域内・海岸保全区域占用料」を市に支払う必要がある。

サザン芸術花火では、準備のための海岸整地やステージ、タワー、電源車などの設置を含めて1ヶ月近く占有するので、2018年は2335万円、2019年は4956万円、合計7290万の占有料を市に支払うことになる。

しかし、茅ヶ崎市は 占有料7290万円を全額免除(減免扱い)している。

「営利目的でないなら」占用料を免除できる

占用料の減免には市の基準があって
①国又は地方公共団体が後援し、
②かつ営利目的でない事業のために占用するときは、
占用料の額の全額を免除する。 
となっている。

つまり、今回のように茅ヶ崎市が後援についている場合は、「営利目的でない事業」ならば全額を免除するということになる。 

そうなると、サザン芸術花火は「営利目的」なのか、そうでないかを判断するために、市は何をもって明確な根拠としたのか? ということになるのだが、茅ヶ崎市の説明では

①収支計画書を確認した
②実行委員会にヒアリングして営利目的でないことを確認した

この2点によって「営利目的でない」と判断したということだった。



あまりに大雑把な収支報告

しかし、実行委員会から市に提出されている収支報告書は、あまりにも大雑把なもので、一般的な会計報告として通用すると思えない。

市が実行委員会にヒアリングした内容も、記録が作成されておらず文書が存在しない。 

茅ヶ崎市行政文書管理規則では、こういった「意思決定の経緯が分かるように」記録した文書を作成しなければならないと規程している。

しかし、記録は作成されていない。


2019年度 収支報告

<茅ヶ崎サザン芸術花火2019>

会場:サザンビーチちがさき海水浴場
チケット情報:椅子指定席 6,800円(税込) ベンチ自由席 5,800円(税込)
観客動員数: 3万6千人
 
<収入>
チケット 
イス席  6800円 × 31980席  2億1746万4000円
その他席 5800円 × 2992席  1735万3600円  
協賛   1620万円

収入計  2億5101万7600円

<支出>
事務局関連費 648万400円(人件費、移動費用含む)
臨時電話設置   216万円
会場費 894万672円(漁組補償、会場費用、整地等含む)
広告宣伝費 702万800円(宣伝費、WEB制作費、FM後援など)
花火関連費 5022万円
演出関連費 5454万円(運送費、宿泊費等含む)
会場設営費 4482万円
警備関連費 3240万円
ボランティア関連費 37万8000円(Tシャツなど)
配布パンフレット 388万8000円
映像収録 594万円
スタッフ宿泊・弁当など 702万570円
スタッフケータリング・備品 324万3530円
JASRAC使用料 16万2000円
司会スタッフ 10万8000円
ゴミ拾い関連費 35万9440万円
近隣対策(ポスティング、配布物など)209万700円
チケット販売手数料 1068万5488円
保険料(中止、ボランティア保険) 1026万円
寄付 30万円

支出計 2億5101万7600円

漁港区域の整備には市税が使われている

市は「収支計画書を確認した」というが、収支計画書も収支報告書も上記のような内容のA4のペーパー1枚だけが提出されている。

また、市は「実行委員会にヒアリングして営利目的でないことを確認した」というが、いつ、誰と誰が、どのようなことをヒアリングして確認したのか、メモも文書もなく、具体的な内容もまったく出てこない。

そもそも茅ヶ崎市がサザン芸術花火の後援につくには、「営利目的でない」「広く市民を対象とした行事」であることが条件になる。

毎年8月にサザンビーチで開催される花火大会は、誰でも自由にビーチで見物できるが、サザン芸術花火は入手困難な高額チケットを買わないことには会場内(ビーチ)には入れない。ファンクラブなどが優先され、広く市民を対象とした行事とはいえないだろう。

2度の開催にあたって近隣住民は、浜の占有やサイクリングロードの通行止めや、道路の混雑など、サザン芸術花火の事業に協力している。当日は、市のコミュニティセンターなどもトイレ利用などに開放されている。
 
漁港区域の駐車場整備には、予算の半分は交付税を予定していたが、交付税が出なくなり約1億5000万円の整備費はすべて市税で負担している。また駐車場整備の工事では地中からごみ廃棄物が出てきたために工事費が増額になっている。

茅ヶ崎市は「財政が厳しい」と言うのなら、7290万円は全額免除するのでなく、しかるべき金額は徴収して、市の財源にあてなければ市民の理解は得られないだろう。


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