市民の期待感も低い茅ヶ崎市
イメージが先行しすぎていて、実態との差が大きい茅ヶ崎市・・・
では、それは変わるのでしょうか?
「市長や議員が変わらない限り、状況の改善はムリ・・」
「何を言ってもムダ、今まで変わらないのだから」
「期待できない」
と、市民の意見はあきらめムード。
市民の、市や議会への期待感のなさは、たいへん大きい茅ヶ崎市です。
さらに、財政危機をのぞいてみると・・・
それにしても、なぜ、茅ヶ崎市はこのような財政危機になってしまったのでしょう?
財政については、むずかしい言葉も多くて、つい敬遠しがちですね。
でも、ちがさき市民オンブズマンのメンバーが分かりやすく解説してみました。
もう一歩踏み込んで、茅ヶ崎の財政危機をのぞいてみてください。
市税(収入)は増えないのに・・・
市税は、イコール市の収入です。
市税とは、市民税(個人・法人)、固定資産税、軽自動車税など「市民の皆さん一人一人が納めたお金」の合計です。
市の収入の8割強が、皆さんの納めた「市税」になります。
市税は、横ばいの状況が続いています。
つまり、収入は増えていない、家庭でいえばお給料はアップしていないということです。
茅ヶ崎市は法人が少ないため、市税に占める法人税の割合は1割にも及びません。つまり、景気による法人税収入の増減が、市税収入に影響を及ぼさない構造になっているのです。
今後3年間合計でも、市の収入は、わずか1億円しか増加しない見通しです。
繰入金(まさかの備え)は減るばかり!
繰入金は、財政が苦しい時の「貯金」です。
積み立てておいた基金を取り崩して使います。
だけど、積み立てた金額以上に貯金をおろせば、減るのは当然・・・。
今後3年間で、基金の残高が33億円減ります。
平成27年度末の残高は71億円ですが、平成30年度末には38億円に減る見通しです。
まさかの時の備えが減っていくのは、貯金が減るのと同じように心細いですね。
貯金は半分に減り、借金は増えた、茅ヶ崎市・・・
自主財源比率(自前で用意できるお金)も減る!
「自主財源比率」は、財政の安定度を示す指標とされています。
市税や公共施設の利用料、住民票の発行手数料など、茅ヶ崎市が自分で徴収できる財源を、全体の財源で割って算出した比率です。
国や県の助けをかりないで、自前で用意できるお金の割合ですね。
3年間の単位で見ていくと、
平成22年度~平成24年度 平均67.7%
平成25年度~平成27年度 平均63.4%
平成28年度~平成30年度 平均58.7%
急激に減少しているのが分かります。
これは、市の自立度がなくなって、財政の安定性が、急激に失われていく傾向を示しています。
市債(借金)残高は増えます!
平成27年度末の市債(借金)残高は518億円ですが、
平成30年度末には609億円に増えます。
今後3年間の市債(借金)の発行額は226億円。
市債の償還(返済)に135億円を使うので、平成30年度末の市債残高は91億円増加することになります。
なお、これは一般会計の市債残高で、この他にも公共下水道や市立病院などの一般会計以外の市債(借金)もあります。平成27年度末の、一般会計以外の市債残高は438億円です。
そして、借金というのは返さねばなりません。
今までは、借金の利子の部分を返済してましたが、これから本格的な返済に入ります。
これを見てると恐ろしいですね・・・
www.city.chigasaki.kanagawa.jp
隠れ借金まであるの・・?
実は市債のほかに「隠れ借金」があります。
浜見平のハマミーナ(PPP)や、柳島スポーツ公園(PFI)のように、公共施設を民間企業に建ててもらう方式を採用した場合の「実質的な借金」です。(かかったお金は税金で返済するので、民間への借金です。)
平成27年度の市の決算報告の「債務負担行為」の中で、柳島スポーツ公園は事業費として、ハマミーナは賃借料として扱われていますが、他の事業の費用との合計額で示されているので、正確な金額はわかりません。100億円はゆうに超えているでしょう。
人件費(公務員の給与や退職金など)の増加
現在の常勤職員は2192名で、年間の人件費(全庁)の合計は約177億円。
今後3年間の人件費の合計額は、平成25年度~平成27年度3年間の合計額に比較して、55億円増加します。
おおざっぱに計算すると、3年間での職員の増加人数は650人です!
平成30年度末には、平成27年度末に比べて、少なく見積もっても100人程度の増加が見込まれます。そのほとんどが「保健所政令市への移行」や、その後の「中核市の移行」に必要としている職員と思います。
これに見合う、国の地方交付税や県の補助金支払いの見通しが立っていない現状では、中核市への移行には慎重になるべきです。
高齢化社会では、扶助費は増えるはずなのに・・
扶助費は、生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの法令に基づいて支出する経費です。
高齢化社会では、「扶助費」の支出が増えるはずです。
ところが、今後3年間の「扶助費合計額」の増加は、平成25年~平成27年3年間の合計額に比較して、わずか3億円となっています。
ちなみに、平成25年度~平成27年度3年間の合計額は、平成22年度~平成24年度3年間に比べて62億円も増加しています。
3億円の増加で済む とした根拠の見当がつきません。
国は補助金を全額払うわけではないので、市の負担は必ず増えていきます。
行政は「扶助費の増加はない」との前提で財政運営を行っているのでしょうか?(だとしたら、大きなミステイクにつながります。)
「普通建設事業費」は、ハコモノ行政のバロメーター
財源の制限がある中で、「普通建設事業費」は増え続けています。
平成22年度~平成24年度3年間の合計額は181億円であったものが、
平成25年度~平成27年度で230億円、
今後3年間で278億円と、
3年間で約50億円づつ増加していきます。
茅ヶ崎市のハコモノ行政の進行を、確実に物語っています。
増加する一方の「維持管理委託費」
高級車を何台も買えば、当然に維持管理のお金も高額にかかってきますね。
それと同じで、身の丈に合わないハコモノを建てれば、当然に維持管理のお金は増えます。
茅ヶ崎市の物件費の大部分は「委託費」です。
そして、委託費の大部分を指定管理業者などへの「公共施設の維持管理委託費」が占めます。
市の作成した今後3年間の合計額では、わずか2億円の増加にとどまりますが、そんなことは常識的にありえません。
古いデータは残っていませんが、過去から一貫して物件費が毎年増加してきています。平成25年度~平成27年度3年間の「物件費合計額」の増加は28億円です。
物件費は、いったん公共施設を作れば、維持管理を続けていかなければならない固定費です。
公共施設をドンドン作っていくと、市民にとっては便利かもしれません。
しかし、身の丈に合わないそのツケは、市民に必ず回ってきます。
茅ヶ崎市と同じように財政ピンチの自治体は、早くから将来の少子高齢化社会に備えて、公共施設の2割削減を目指してきました。その成果によって、子供の医療費補助を小学3年から6年にまで引き上げるなどしています。
茅ヶ崎市とはなんという違いなのでしょうか・・・!
補てんするお金も増加している・・・
「繰出金」は、一般会計から他の会計へ支出するためのお金です。
特別会計の国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険、公共用地先行取得や、公共下水道、市立病院の事業などに、一般会計から支払われるお金です。
これらの事業が苦しくなると「補てん」する訳ですが、その金額が今後3年間で合計22億円増加します。
ほんとうならば、特別会計は「独立採算性」を原則としているので、被保険者からの保険料や、使用者からの使用料などを主な財源としています。
しかし、財源の不足(赤字)を補てんするため、一般会計からの「繰出金」によって事業を実施している状態です。
国・県からの補助金をアテにするの?
人件費、扶助費、公債費の合計額を「義務的経費」といいます。
市長・職員・議員の人件費、
生活保護法、児童福祉法、老人福祉法などに基づき支出される扶助費、
市債(借金)の元金・利子を返済するための公債費など、
支出が法令などで義務づけられ、任意に削減しにくい経費です。
「義務的経費」の増加が、国や県からの補助金の増加で埋め合わせできていれば、基本的には財政上の問題はありません。
今後3年間の「義務的経費」合計額は、平成25年度~平成27年度3年間と比較して62億円増加しています。
しかし、国や県からの地方交付税や補助金は42億円の増加にとどまり、20億円不足します・・・。
42億円の増加分には、公共施設建設に対する補助金も含まれているので、不足額はさらに増えることに!
安倍政権のバラマキ政策は、国の財政状態からして果たしていつまで期待できるのでしょうか?
*平成25年度~平成27年度 過去3年間の実績
*平成28年度~平成30年度 「総合計画第3次実施計画」
この記事は、上記の今後3年間の財政収支の見通しを比較して、「ちがさき市民オンブズマン」が分析したものです。
茅ヶ崎市は「市民の声」がなぜ反映されないの?
たいへんに危機的な財政状況の茅ヶ崎市ですが・・・
でも、みなさんは疑問に思いませんか?
財政をひきしめて、立て直しをはかっている市はいくつもあります。
でも、なぜ、茅ヶ崎市は同じことをやろうとしないのでしょう?
現在、茅ヶ崎市では、行政に近い企業や団体、まちじから協議会や有識者など、ごく限られた一部の人たちが、政策の決定に強い影響を及ぼしているのが現状です。
議会の行政をチェックする機能は働かず、むしろ議会の与党派は、そんな行政を積極的に支援しています。
そこには、サービスを受ける「市民の声」がまるで反映されていません。
では、これから、私たち市民はどうしたらよいのでしょう?
まず、市民が主役となること。
そして市民、行政、議会の3者が、なあなあの関係を断ち切って、行政改革、議会改革を進めていくことが茅ヶ崎市に必要です。
本来なら、議会の「行政への監視機能」と「政策提案機能」が働いていれば、今のような財政危機になっていないはずです。
市民の目を行政や議会に向けて、行政改革、議会改革の第一歩を踏み出しましょう!
それをさらに進める方法は・・・
次の選挙では、市民の立場に立った実行力のある市長や議員を選びましょう!