茅ヶ崎市のパブコメで事業者が宣伝?

市民には公開できないと回収した資料

平成28年6月6日、市役所4階の会議室で行われた、
「第1回 茅ヶ崎市景観まちづくり審議会」

市の審議会は、原則として市民は自由に傍聴できるし、審議会で配布される資料をもらって、持ち帰ることもできる。

しかし、この会議では、「赤松町パナソニック跡地開発」に関連して配布された資料のうち、「YU-ZU ルーム」の当日資料が、持ち帰り禁止とされて回収された。市の担当課によると「まだ話し合っている途中の案件だから公開できない」という説明だった。

いずれにしても、市民には内容を公開できないので回収した、ということ。

ところが、後日になって、不思議なことにというか、驚くことにというか、市のパブリックコメントに、非公開として回収された内容が、事業者によって書き込まれていたのだ。


以下にその部分を、ちょっと長いが抜粋してみる。

平成28年8月5日〜平成28年9月5日に実施された
「公共施設整備・再編計画(素案)」についての パブリックコメントから

http://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/019/741/pabukomejisshikekka.pdf


■4.「茅ヶ崎市の公共施設マネジメント」に関する意見

関西電力グループである当社(関電不動産開発)は、赤松町のパナソニック跡地において、区画整理事業を行っております。
当地区では、マンション開発等にともない、 地域住民が利用する公民館(YU-ZUルーム)、提供公園、コミュニティ広場を整備しております。

特に、「YU-ZUルーム」の取り組みは、私ども事業者が土地建物及び一部資金を提供し、茅ヶ崎市が土地建物を所有し、地域住民が運営資金を基に運営する、という、全国的にも極めて珍しい試みをしております。

私どもは、この取り組みにより「茅ヶ崎モデル」の確立を目指しております。

この取り組みを進める中で、小和田地区まちぢから協議会の意識の高さ、また小和田地区の各自治会、民生委員の方、 ボランティア活動を行っている方、さらには一般の住民の方々の地域に対する意識の高さを非常に感じております。

また、この YU-ZUルーム の運営主体の住民10名の方々は、昨年12月に非営利型の一般社団法人「辻堂西口YU-ZUルーム」を立ち上げるとともに、ボランティア参加のみならず自ら会費を出資して運営準備を行っております。

その目的は、地域の乳幼児から高齢者まですべての世代が YU-ZUルームに集い交流することにより、地域コミュニティを形成し、行政主体ではなく、地域住民主体で様々な課題の解決めざし活動することです。

当初、私どもは地域の方々のみで前述の施設運営を行うことに疑問を抱いておりましたが、現在まで1年半ほど打合せを重ねることにより、地域の方々で持続的運営が可能であると確信を持てるようになってまいりました。
平成30年春の YU-ZUルームオープンに向け、これからも尽力したいと考えております。
(引用 おわり)

パブコメを宣伝に使った事業者

冒頭に自分で名乗っているように、関電不動産開発がこのパブコメを書いた。

☆【関電不動産開発】は、上記の審議会に出席していて、自ら YU-ZUルーム について説明している。

☆審議会の冒頭で、市の景観みどり課の職員は、「配付資料として記載しております、赤松町パナソニック跡地開発計画についての YU-ZUルーム の基本的な考え方の資料につきましては、終了後資料を回収させていただきます」と言って回収した。

つまり、市は非公開にしたかった内容を、事業者がパブコメに書いてオープンにした。

 
「第1回 茅ヶ崎市景観まちづくり審議会」議事録
http://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/018/284/shingikai280606.pdf


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審議会の議題になる前に、プレスリリースが行われている

平成28年3月に出された事業者のプレスリリースに、以下のことはすでに発表されている。

◆地域のコミュニティ活動の中心となる『YU-ZUルーム』の整備

民間企業が費用を出資し、茅ヶ崎市へ寄付。その施設を地域住民(一般社団法人)が運営するという初めての取組を実現。
地域・行政・開発事業者の協働によるコミュニティのカタチ『茅ヶ崎モデル』を構築していきます。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000018200.html


市の審議会は、プレスリリースの3ヶ月後に開かれている。

審議会に『YU-ZUルーム』を議案で出したとき、市は委員から説明を求められた。
担当課は「これは茅ヶ崎でもはじめてのケースで、、」と言いながら、YU-ZUルーム の運営システムをうやむやに説明して、資料も回収した。 

説明された委員も、内容が理解できずに頭にハテナがついていた。

市のパブコメが、特定の事業者の売り込みや宣伝に使われているが、これだけ堂々と書いてくるのだから、市長や職員、議員などとすでにソンタクがある印象を受けざるを得ない。

「まちぢから協議会」が市の政策を決定していいのか?

また、市長が地域自治の取り組みとして、新しく始めた「まちぢから協議会」だが、これは始まる前から山のように問題点が指摘されている。

「まちぢから協議会」は市の補助金で運営されていて、地域の問題を解決するというタテマエだが、今回のパブコメにあるように、「まちぢから協議会」に事業者が入っていいのか?という問題がひとつ。

「行政・民間事業者 ・地域住民」という、特定の事業者が入る関係性はあり得ない。

この点は、市側から明確な説明がない。

さらに問題なのは、今回のように、審議会にかけられる前に、内容が公開される前に、ということは議会で説明される前に、すでに「まちぢから協議会」と職員のあいだで市の政策が内密に作られ決定されているということ。
  

もちろん、「まちぢから協議会」にそのような地域の政策を決定する代表権はない。

市が、都合良く「まちぢから協議会」に代表権を与えているだけのことで、これは後々に茅ヶ崎市の大きな問題になっていく。