茅ヶ崎ゴルフ場利活用 何が問題? その2-市長の対応

違法な会議で「にぎわいのまち」へ

その1に続いて、市長の対応の問題点について考えてみます。

「国道134号沿線の活性化に関する有識者会議」では、134号線沿いの海岸地域を西、中央、東の3つに分けて、それぞれの基本計画の提案を行いました。

東のゴルフ場地域については、

都市マスタープランの「良好な生活文化を持った風格ある海辺のまち」から「防災・未来・マリンレジャーをテーマとした防災と環境に配慮した和みの空間」に変わってました。

これは、住民の意見を取り入れず、一部の委員の意見で変更されたものです。

この提案に沿って「茅ケ崎ゴルフ場の利活用基本方針」が、市と県、茅ヶ崎協同の3者により策定されてしまいました。


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ゴルフ場周辺は「良好な生活文化と風格ある海辺のまち」

静かなみどりの環境を愛する住民

都市マスタープランのイメージである「風格ある閑静な自然環境のまち」。  

私たちは、長年、その静かなみどりの環境を愛して暮していました。

それが、いきなり、観光・宿泊施設・企業誘致や、砂防林を伐採してゴルフ場から国道134号線に通じる道路を設ける「にぎわいのまち」へと、イメージが変貌することになります。 

防災、環境に配慮するとはいっても、にぎわいのための商業施設などの建設で、「広域避難場所の縮小」「環境破壊」は避けることができません。

この基本方針が、茅ケ崎ゴルフ場利活用事業に関する「事業者募集要項」に全面的に盛り込まれました。

ちがさき市民オンブズマンは、この有識者会議が正しい手続きを踏まずに作られていない、法律に違反した会議として住民監査請求を出しました。

その結果、監査委員は、この有識者会議は「法律違反」と判断したのです。


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法違反でかまわないとする市長

監査委員の勧告(監査委員の意見書では「要望」)に基づき、今年の6月議会では、有識者会議の大幅な見直しが可決されました。

市長と市民の対話集会での意見交換で、

「市長は違法と知りながら、なぜ有識者会議に基本方針の提案を行わせたのか?」と質問したところ、市長は「迅速性を重んじたため」と回答しました。

市長は、違法を違法とも思わず、手段を選ばないのでしょうか?


地方自治法では、
*市の仕事はすべて法令(法律と国の通達)に従わなければならない
*法令に違反した行為はすべて無効

と定められています。

市長は当然そのことを承知しているはずですが、市民が参加すると、基本計画の策定に時間がかかるので、あえて法律に違反しても、市長の裁量権で市長の意向に沿った委員を選び、「ゴルフ場の利活用方針の策定」を、事業者募集要項の策定までに間に合わせようとしたと考えられます。

違法な会議はもちろんですが、このことに限らず、市政全般に市民参加が形だけになっていることが大きな問題です。


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茅ヶ崎ゴルフ場は、市民6万人の「広域避難場所」 

市長が無視している市民の声

市民参加条例では、「市長などは、市民の多様な意見を反映するよう努めなければない」と定めています。

これに反して、「134号線沿線の活性化に関する有識者会議」では、ゴルフ場の利活用(開発)によって影響を受ける周辺住民や女性の委員は一人も入らず、全員が市長の指名した高齢の男性です。

また、計画を承認する重要な最終会議に出席したのは、委員総数の過半数にも満たない4名。(審議会の場合は会議は成立しない。)計画決定の有効性にも大きな疑問が残るものでした。


さらに、この有識者会議は、次のことを無視しています。

☆約2万4000人の茅ケ崎ゴルフ場の存続を求める署名 

☆周辺住民と市との数回にわたる意見交換会の圧倒的多数意見

☆緑の環境と安心安全を求める市民の声 ⇒ 市が「みどりの基本計画」で実施した、まちづくりに関するアンケートで最も多かった意見。


その後、この有識者会議の提案に沿って、市・県・茅ヶ崎協同の3者で策定した「茅ケ崎ゴルフ場の利活用基本方針案」が、パブリックコメントにかけられました。

パブリックコメントでは、住民のほとんどの意見が、ゴルフ場の存続や広域避難場所の確保、みどりの保全を訴えました。

しかし、これもまた無視されるかたちで、基本方針案が正式に採用されました。
 

市民の「生存権」が脅かされる

いま現在、検討が進められている事業者提案の内容によっては、市にとってむしろ経済的な負担となります。 

さらに、市民にとっても憲法で保障された「生存する権利(生命権)」や「幸福を追求する権利(生存権)」を脅かされる危険性があります。

市長の一連の行動は、市民の声を無視しています。

「市民の安全を守るための12万㎡の広域避難場所」と「みどりの住環境の確保」について、市長の態度は消極的な印象を与えます。それが、広域避難場所を6万㎡に縮小しようとする県の意向に、影響を与えているかもしれません。


★この記事では、

「事業者募集要項」
「県・協同・市の3者打ち合わせ議事録」
「県議会議事録」
「事業提案者と県との Q&A」
「県の担当部局からの聴取」など、情報公開などで明らかになった市・県の考え方をもとに、6回に分けて報告しています。


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