「市の財政は健全」と自信たっぷりだったが・・
4年前に、茅ヶ崎市では「市庁舎建て替えの是非」を巡る住民投票運動がありました。
そのさなかに、市長は「市の財政は健全である!」と、広報紙の特集号を発行しました。
また、財政部長は議会で、「財源に不足があれば国の地方交付税によって補てんされるので問題ない」との趣旨の説明をしています。
これを信じた某市議会議員は、住民投票の採決をとる本会議で、「あたかも福祉の費用が市役所の建て替えに回るというような、市民の不安をあおる情報は誤っている」との理由で反対しました。
しかし、実際にはどうだったのでしょう・・・?
市庁舎の建て替えの後も、ハコモノの建設ラッシュ!!
県19市で最低の子供の医療費補助や、県でワーストの保育園待機児童数など、他市との市民サービスの格差を解消できないまま、茅ヶ崎市はここまで来てしまいました。
今後も財政運営に、思いきった大ナタを振るわなければ、解決は困難でしょう。
救いがあるとすれば、遅まきながら市長や議員も、市の財政が厳しいことに目を向けるようになったことです。
「財政は健全である!」と自信たっぷりに主張していた当時とは、さま変わりの財政危機です。
確実に増えている支出
市の財政は、市税収入が横ばいで推移していますが(収入は増えていない)、支出は毎年確実に増えています。
国や県からの補助金や地方交付税の増額では足りないので、不足分は基金(貯金)の取り崩し、市債発行(借金)や民間資本による公共施設の建設(PFI、PPP事業、これも借金)で補っています。
当然ですが、茅ヶ崎市の財政は不安定となり、貯金の残高は減少し、借金は増えています。
それに加えて、表面には表れないPFI、PPP事業による「隠れ借金」も新たに加わりました。
こういう厳しい財政状況にあっても、茅ヶ崎市はさらに多数の公共施設を建設するので、建設費以外にも、施設の「維持管理委託費」がかさんでいます。
その結果、子供の医療費補助や保育園の待機児童の解消、中学校給食まで手が回らない状況です。
国・県からの補助金を目当てにして、市はハコモノ行政を推進し、さらに保健所政令市や中核市への移行を計画しています。(そんなお金がどこにあるのか・・?)
市の財政リスクに対する意識の低さが心配です。
ハコモノのしわ寄せは、市民生活に・・・
もう一つの懸念材料は、第三次実施計画収支報告では、明らかに「過少見積もり」の経費があることです。
高齢化が進んでいるというのに「扶助費」はなぜか横ばい、公共施設の建設費が増加してるというのに、見積もりが減少している物件費(大部分は施設の維持管理委託費)です。
このような間違った財政見通しにもとづいての公共施設の建設や、保健所政令市、中核市への移行は、財政状況をさらに悪化させる原因となっていきます。
*扶助費とは・・・生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法などの法令に基づいて支出する経費です。
サラリーマン家庭にたとえてみると・・・
市の財政状況を、わかりやすくサラリーマン家庭に例えてみましょう。
お給料(=市民税収)は少なく、賃上げもない(=税収は増えていない)。
なので、預金(=基金)をおろして、足りない分は親や兄弟からの支援(=国・県からの地方交付税・補助金)や、友人からの借金(=PFI、PPP)で埋めている。
家を新築したので、出費(=公共施設の建設費・維持管理委託費)がかさむ一方だ。
子供が病気しても、病院に行くこともままならないし(=小学3年までしかない子供医療費補助)、保育園に預かってもらうことも(ワースト待機児童数)、中学生の子供に弁当を持たせてあげるのも大変だ!(中学校の給食なし)。
ワイフ(=議会)から「何とかして下さい」と頼まれても、ない袖は振れない。
だけど、ワイフ(=議会)もしっかり収支をチェックしていない。
何かと見栄を張り、イメージ先行の性分が直せないので、お金のことは親や兄からの仕送りで何とかなるだろうと思って、ロ-タリークラブに入会(=保健所政令市)を決めた。
ステータスシンボルとしては、上のクラブ(=中核市)の会員になりたいが、ワイフはウンと言わない。だけど、そのうち機会を見て試みてみるつもり・・・
(記事:ちがさき市民オンブズマン)